置いてけぼり日記

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ひと目見たときから劇場で見るって決めていた映画である、「シン・シティ」を見てきた。
「シン・シティ」公式サイト
「シン・シティ」冒頭シーンが見れるサイト

率直な感想としては大満足である。
格好いい映像さえ見れればいいやぁのつもりだったのだけども、思いのほか重厚でかつまったく無駄の無いストーリーで、最後まで惹き付けられっぱなしだった。
買ってきたパンフレットによると、これは「グラフィック・ノベルズ」というコミックの一種である同名作品を原作にしたそうで、グラフィック・ノベルズというのは通常の漫画とは違って文学のごとく表現されたものなのだそう。劇中で語られている大量のモノローグからすると、恐らくは細かい心理描写をあたかも小説のごとく書きつづっているに違いない。
だもんだから、主人公の価値観やものの考え方を常に情報として得ているという、完全なる一人称ストーリーとなっている。最初はうるさく感じるかもしれないが、それに慣れれば、常に分かりやすくストーリーを説明しているわけで、「このシーンって結局なんだったの?」と制作者に疑問を投げかけたくなるような必要も無い。──ま、そもそもが単純明快な復讐劇であり殺し合いだから、モノローグが無くともわけが分からないという部分はほとんど無いと思うが。
この映画の最大の特徴であるモノクロ表現だが、これははっきりいって心地がいい。単なるモノクロだったら見難いだけかもしれないが、コミックの絵を再現するためのモノクロなため、コントラストがすんごく強いものになっている。ほとんどが白と黒であり、中間のグレーがほとんど使われていない。いってみれば、トーンを多用しない漫画絵そのものであり、カラーよりも見栄えが良い映像になっているのだ。
しかも、漫画では効果として使われているが、現実にはありえない光源の描写まで再現されている。通常の映像ならオタクっぽい風貌を持ったケヴィンが、実は残忍な殺し屋であると判明することで、暗闇の中でもレンズが真っ白に浮き上がるという描写により眼鏡がより効果的なアイテムになってくるのだ。
言ってみれば、碇ゲンドウの眼鏡、眼鏡委員長が裏モードになるときの眼鏡そのもの。これこそ、二次元を映像化する上で、世界でもっとも正しい眼鏡映像に違いない。
──んでね、とにかくミホがいいのう。予告では「なんじゃそりゃ?(笑)」だったが、実際に動いているのを見るとむちゃくちゃ格好ええのなんのって。ほとんどしゃべりもせず、ただ命ぜられるまま戦う戦闘兵器の彼女は、恐らく「シン・シティ」の世界では最強じゃないだろうか。
個人的には、ミホと、あとミッキー・ロークが演じていたマーヴがお気に入り。テレ東曰く「ナンパなチャラ坊」だったミッキーの面影はもうどこにも無いですぞう。

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