ゲームシナリオのフローチャートの書き方
実際に作成したシナリオフローチャート ]
§0. はじめに
ここで取り上げるものは、著者がオリジナルで考えたものではありません。
一般的な情報処理において使われるフローチャート記号から、ゲームシナリオ用に使うと便利だろうものを取り上げています。
これらは一例に過ぎないのですが、これらの記号を書く定規が大手のショップに行けば入手できるだけでなく、Microsoft Office(WORD,EXCELなどの基本的なツール群)といったフローチャートが作成できるアプリケーションでも同様の記号で書けるので、是非この方法を習得しておくのをお勧めします。
左はEXCEL2007の場合。
「挿入」リボンにある「図形」に、フローチャートに関する記号がそろっています。
こういったオフィス系ツールにはISOに準拠したフローチャート記号が用意されており、記号ごとの使い方を忘れてもフローティングメッセージで教えてくれるので便利かと思います。
ただし、他人に渡すフローチャートを作成する場合は、最終的にPDFまたはEXCEL97-2003形式で保存するのを忘れずに。
§1. フローチャート記号
■ 最低限使い分けた方がよいもの
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端子
フローチャートのはじまりと終わりに使うものです。
通常は各ルーチンのはじまりと終わりに使いますが、上記のように章の頭や「○月○日」といった日付の頭と終わりで使うといいでしょう。
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処理
最もよく使うであろう記号です。
台本における「箱書き」のように、話の流れを簡単に説明するのに使うといいでしょう。
また、ゲームにおける「フラグ」の処理などもこれを使います。
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判断
フラグや、直前の選択肢の状態により、ストーリーの流れを分けたいときに使うといいでしょう。
分岐に用いる言葉は「YES/NO」以外にも、選択肢の文字「話しかける/無視する」などを記してもいいでしょう。
■ 使うと便利なもの
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手操作入力
プレーヤーに何かの入力をうながしたいようなケースで使うといいでしょう。
「判断」だけではフラグと選択肢の見分けが付かない場合があるので、これでプレーヤーの選択待ちにするのを明示すると見やすいフローチャートになるでしょう。
上記の例では、選択肢を明確化したい場合の例です。この場合、直後の「判断」によってここで選択されたものを判断するようにします。
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結合子
フローチャートが長くなってしまう場合、またはストーリーの分岐が複雑化する場合に、この記号を使って交差したり無駄に線を延ばさないように記述することができます。
詳しいことは後述します。
§2. 基本的な書き方
これが基本中の基本となるものです。
実際はここまで細かくはやりませんが(プロットと併用するし)、場面が変わる単位、選択肢が発生する単位に「処理」記号を使って書いていきます。
- 「端子」を用いてフローチャートの先頭を明示します。シナリオを書くときのシーン名などを記しておくといいでしょう。
- 「処理」でストーリーの流れを書いていきます。ここはドラマ脚本における「箱書き」と似たようなものです。
- 選択肢とその分岐の書き方です。「判断」を用いて選択肢であるのを明示し、分岐条件に選択肢を書いています。選択肢が増えた場合の書き方は後述します。
- フローチャートの最後も「端子」にして、次のフローチャート名を記しておきます。
§3. 複雑なフローの書き方
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選択肢を明確にする
選択肢の後で共通するシーンが存在し、その後でストーリーが分かれる場合(なんか苦しい例だな)、「判断」だけでは記述できません。
上記の例だと、【選択1】というフラグに選択内容を格納しておき、後に出てくる「判断」でストーリーが分かれる――なんて感じの書き方を再現したものです。
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流れが3つ以上分かれる
選択肢が増えたらこのように線を引っ張ります。もちろん、各線には判断条件の明記を忘れずに。
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流れが大きく変わる(キャラ別ルート等)
フローチャートの線はなるべく交差させず、線をいたずらに伸ばさない方がいいです。
もし線が交差しそうな場合、「結合子」を使って別の場所に書くといいでしょう。
またフローチャートが別のページに飛ぶような場合にも、結合子を使うと見やすいフローチャートになります。
§4. 実際に作成したシナリオフローチャート
以下の例はひとつのエピソードをひとつのフローチャートとして書いた例です(実際のゲーム制作で使われたものなので記述内容を分かりにくくしてあります)。
§1で紹介した記号のみで記述しています。
(補足説明)
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