ぶっくさーばんと! 〜花魄(かはく)〜
by 蔵月古書店
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花魄の木の根が地面、そして建造物を破壊しながら、巨大な鵺の体に巻き付くのだが。
空気を震わせ、鵺の鳴き声が響いた。甲高い、鳥の、トラツグミのような鳴き声。
その体を揺すり、木の根を引き千切る。
そして尾の蛇が何かを追うように地を這うのだった。そして地面の下へと潜り込む。
まるで地震のようだった。地響きと砂塵に彼女は頭を抱える。
一際大きな轟音と共に、尾の蛇が地面から姿を現した時、その口には一体の物の怪が噛み砕かれたいた。それは花魄だろう。
その光景を彼女が見た時に彼女は理解する。花魄を攻撃した、あの巨大な獣……それが黒鵺なのだと。
それからはほんの数分程度の出来事だった。全ての花魄が鵺により倒されるのは。
◇
その後、花魄が取り憑いていたであろう本が彼女の部屋から発見される。
彼女の趣味である本集め。
ボロ借家(本にお金を使い過ぎて)の雨漏りが重なる偶然から、彼女は花魄に憑かれようのだった。
それを知りガァ子は一言。
「目を覚ませ」
そう呟く。
だが本が好きだったからこそ、黒鵺と出会えた。
だから彼女はそれを良しとするのだった。
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