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ぶっくさーばんと! 〜花魄(かはく)〜

by 蔵月古書店

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 そして今、彼女はどこに居るかと言うと……自分の家であった。そこは小さな借家であったが、その部屋いっぱいに本が積まれている。
 壁際に置かれた本棚はもちろんの事、そこにしまいきれない本が縦に積まれていた。
「あの、す、すいません。少し散らかってますけど……」
 彼女は恥ずかしいそうな表情を浮かべ玄関へと振り向いた。
「失礼する」
 そこにいるのは黒鵺。そして。
「おじゃましま〜す」
 年齢の頃は16、7歳。眼鏡の掛けたメイド服の少女、沙夜子と。
「沙夜子の部屋と同じじゃな。もう少し整理をするのじゃ。これじゃ男など誰も寄り付くまいぞ」
 子供の姿だが、その口調は妙に古めかしい女の子。ガァ子。
 その三人がいたのだ。


 事の起こりは数日前。
 いくつかの本が大陸から、この日本に輸入された。
 ただそれは内容的にも価値的にも大した本ではない。多くの本屋でも取り扱われるような何の変哲も無い、ただの本。
 だが問題はその本の原材料にある。
「花魄……?」
 聞き慣れない単語を彼女は繰り返した。その言葉にガァ子は頷く。
「そうじゃ。簡単に言ってしまえば、樹木の化物じゃな。その花魄が宿る樹木を原材料としていくつかの本が使っておったのじゃ」

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