ぶっくさーばんと! 〜花魄(かはく)〜
by 蔵月古書店
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花魄は木の精であり、枯れる、つまり水分を失うとその力を停止させる。本のままの形なら姿を現す事は無いだろう。
しかしその活動はあくまで停止であり、消滅ではない。つまりそこに再び水分が満たされるような事になれば、そこからまた花魄は復活するのだ。
そして数日前、花魄が現れた事により、事態が表面化する。
その持ち込まれたいくつかの本を回収するために、沙夜子、ガァ子は行動をしていたのだ。それは沙夜子たちが妖怪退治を生業としているから。
もちろん、そんな話を彼女は簡単には信じられない。樹木の化物、そんなモノが存在するわけが無い。ただの作り話。
と、数時間前なら考えていただろう。
だが彼女は見ているのだ、花魄の姿を。全てが夢だとは思えない現実感がそこにあり、否定を出来ない自分がいる。
なにより黒鵺が嘘を言う人間に見えない。
「……冗談……ですか?」
彼女の問いに黒鵺は……
「いや。本当だ」
と即答をしたのだから。
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