ぶっくさーばんと! 〜花魄(かはく)〜
by 蔵月古書店
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◇
黒鵺の動き、それは人間の動きではなかった。街の中を駆け抜けていくその速さも人間離れしていれば、その跳躍力も普通ではない。たった一跳び、それだけで二階建ての屋根の上へと飛び乗ってしまう。そして屋根から屋根、屋上から屋上へ。その動きにはまるで重力などを感じさせない。
それも彼女一人を抱きかかえているのにだ。
ただただ彼女はその状況に声を失っていた。何が何だか全く分からない。その速さと高さに身を硬くする。
黒鵺はと言うと、冷静に街の中を観察していた。
そして異変に気付いていた。
……なぜ人がいない……
そう黒鵺は心の中で呟いていたのだった。
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