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ぶっくさーばんと! 〜花魄(かはく)〜

by 蔵月古書店

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「ああ。一冊売った」
 そしてその売った本の値段を聞き、沙夜子が感嘆の声を上げる。
「うわっ、結構高い本じゃないですか。それだけでお店の売り上げの三日分ですよ」
 と喜ぶのだが、ガァ子にしてみれば。
「そもそもその金額で三日分って、どれだけ人が入っていないのじゃ……」
 呆れるばっかりである。
「ちなみにどの辺りにあった本ですか?」
 嬉々とする沙夜子の問いに、黒鵺は指先でその本棚のあった位置を指差す。
「すぐそこにあった棚だ。そこの一番上」
 それを聞いた瞬間。沙夜子は笑顔のまま凍りつく。
「お、おい沙夜子……確かそこの本棚の上段には……」
 沙夜子はもちろんの事、ガァ子も大体の本の位置は把握している。そしてそこにどんな本があったのかも。
「金額が分からなかったのでほぼ定価で売ったが」
 黒鵺の言葉に沙夜子はダラダラと冷たい汗を流す。その笑顔が引き攣る。
 鼻メガネのおかげで非常に面白い顔であった。
「あ、あのタイトルとか……覚えてますか?」
 聞きたくない。聞きたくないけど知らなければ。
「ああ」

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