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ぶっくさーばんと! 〜花魄(かはく)〜

by 蔵月古書店

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「うう、酷いです、ガァ子ちゃん……乙女の顔を蹴り上げるなんてぇ……あれ……眼鏡、眼鏡……」
 蹴り飛ばされた衝撃で、眼鏡が派手に吹っ飛ぶ。店内がこれだけ散らかっているのだ。その眼鏡は簡単に見付からない。
 その眼鏡を探して、四つん這いで這い回る沙夜子。
「ほら沙夜子。眼鏡じゃ」
「ああ、ありがとうございます。ガァ子ちゃん」
 渡されたそれを掛ける沙夜子。
 鼻メガネ。
「……ええぇ〜なんですコレぇぇぇっ!!?」
「ええい、うるさい!!店がこうなった一因はお前にもある。罰としてそれでも掛けてるのじゃ!!」
「すっごい理不尽な事を言ってますよ、ガァ子ちゃん!!」
 もちろん一因は無いし、むしろ黒鵺ならガァ子に監視の責任があるわけのだが。もちろん八つ当たりである。
 準備が良い事に、この鼻メガネ。ちゃんと度が入っているのだった。
 取りあえず沙夜子、鼻メガネを仕方なく装着。
 ガァ子は大きくため息をついた。
「どうせ接客しててこうなったのじゃろ。せめて本くらいはキチンと売ったのか?」
 ガァ子は黒鵺へとジロリと視線を向けた。
 以前、お茶を入れさせたら、金魚鉢でお茶を出すような男。それが黒鵺。まともに接客なんて出来るとガァ子は思っていないのだが。

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