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ぶっくさーばんと! 〜花魄(かはく)〜

by 蔵月古書店

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 黒鵺の体が宙を舞う。
 そして地面に着地すると、建物と建物の間、小さな路地に彼女の体を下ろす。
「悪いが、少しそこに隠れていろ」
「え、あ、あの……」
 何を言えばいいのか、彼女は言葉を言い淀む。だが黒鵺はその彼女を制するように立ち上がる。そして一言。
「必ず迎えに来る」
 そうして黒鵺は一人、路地から姿を見せた。
 そして小さく呟く。
「獅子王よ……」
 呟き、そして右手を前へとかざす。その右手。
 それは光だった。蛍のような淡い光。漂う光が、黒鵺の右腕に絡み付き、やがて収束していく。そして光が作り出したのは一振りの日本刀だった。
 青白く光を発する刀身を持つ日本刀が黒鵺に握られていた。
 これこそ獅子王。夜の闇が深ければ深いほどにその刀身は光を増す。増した光は闇から妖魔を照らし出すという退魔の刀。

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