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◆ 置いてけぼり日記 ◆
■ 2006/3/5 : 人間、負けてみないとね
中高生以上になれば、もうそんなの気にすることも無いだろうが。
小学生の間ではNDSってものはステータスらしい。
いや、ステータスという言葉は弱いだろう。
持っているか持っていないか、イコール、友達か友達じゃないか、小学生として勝っているか負けているか、というレベルに昇華しちゃっているらしい。
持っていないと誰にも相手にされないばかりか、いじめの対象にすらなるところもあるんだとか。
だから子どもは──その親は、必死になって店をはしごする。
店員にすがりつき、置いていないと分かると、泣き叫び呪いの言葉を吐く親子さえいる。
学校なにしてんだよと思ったりするけど、それは持っていない家庭に対する情けでしか無いだろうし、持っている家庭には余計に優越感に浸らせるものになっちまうだろうし、そういう部分に干渉するのは学校のすべきことじゃ無いでしょうってことになるだろう。
以前みたく──自分のときみたく教師というものが絶対的とは言わずとも上位に位置するものであれば、教師のカリスマ(?)次第ではクラス単位でその辺の制御はできたであろうが……。
今、そういう部分に踏み込めるのって親しか無いんだと思う。
でもそのことが、子を持つ親の勝ち負けに関わる部分だとすると、もう親に頼る術は無く負ける子どもの心は傷ついていくばかり。
勝つ親に、負ける親の気持ちなど分かりはしない。
なぜなら、自分より下の人間の気持ちなど、その立場にならなければ理解は不可能だからだ。
物語だって、負けの気持ちを分からせる方法として、主人公を一度どん底に突き落とすだろう? 優越感に浸る人間が、あるとき劣等感を持つ人間を理解するという展開にはまずならない。──それは、現実だって同じ。
口でならなんとでも言える。これ書いている自分だって、きっと分かってない部分はある。多分にある。
NDSの手に入らない家族は、きっとすごく貴重な体験をしているんじゃないだろうか。人間ってナニーっていう。
負けた小学生が、これから10年とか歳を経て色んな人間が見えてきたとき、負けていたときの自分を思い出して何かを掴むのかなと思ったりして。
人間というのは、負けてこそ価値の分かる生き方ができるようになる。そう考えれば、手に入らない経験も悪くは無いだろう。
そう言って笑うしかないのも、まあナンだけどさ。
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