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ぶっくさーばんと! 〜沙夜子のおつかい〜

by 蔵月古書店

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「遅いっ!! 買い物にどれだけ時間かかっているかっ!!」
 蔵月古書店に帰ってきた私を出迎えたのは、お腹を空かせたガァ子ちゃんの雄叫びだった。
「仮にも神の使いたる儂の腹を空かせるなど、無礼千万にもほどがあるのじゃ!」
「だ、だって……魔物が現れたんですよぅっ!」
「そんなの、ぱぱっとやっつけるのがお前の役目じゃろっ!!」
 しかもさっきの餓鬼と変わらないくらい凶悪な顔してますよ、ガァ子ちゃん。
 黒鵺さんやガァ子ちゃんの手助け無しで魔物をやっつけられたのは、私にとって大きな第一歩だった。それを報告しようとしたのに、ガァ子ちゃんは聞く耳持たずだった。
 部屋の隅には、壁にもたれた黒鵺さんがぼんやりとした顔でお茶をすすっていた。時おり何かを言おうとしていたが、ガァ子ちゃんの声でかき消されてしまっている。
「ごめんなさい。すぐに支度しますぅ……とほほ」
 せっかくひとりで解決できたのに、誰もほめてくれる人はいないのですね。
 天国のおじいちゃん、泣きたい日もあるけど私は今日も元気です――。
「そうだ。お前のじじぃから手紙が来ておったのじゃ。あの妖怪じじぃ、まだ若い娘の尻追っかけてるらしいぞ」
「そうですか。ええ、そうでしょうね」
 私には、感傷に浸れる余地さえ与えられていないようです。

(つづく?)

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